Androidの収益性の危険な地域性(その2)

先日のブログでAndroidのアプリの売り上げが日本と韓国に極端に偏っていて、特に日本のスマートフォン市場の動向次第でアプリの売り上げに大きな問題が生じる可能性があることを紹介しました。具体的にはDoCoMoがiPhoneを販売するようなことになれば、日本でのAndroidアプリの売り上げが大きく減速することは避けられず、それが世界全体のAndroidアプリの売り上げに大きな影響を与えると述べました。そしてそうなると、Androidというプラットフォームそのものの収益性が大きな影を落とすことになります。

今回はApp Annieのブログ 12を見ながら、もう少しデータを拾いたいと思います。

収益から見たゲーム開発会社の順位

iOSの場合は以下の通り、ヨーロッパ、北米、日本のいろいろなメーカーが含まれていて、バランスがとれています。

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それに対してAndroid (Google Play)の場合は、日本と韓国のメーカー会社が圧倒しています。

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収益から見たゲームの順位

iOSの場合はやはりバランスがとれています。

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そしてAndroidの場合は日本と韓国に極端に偏っているばかりでは無く、韓国限定のハングルのタイトルが登場します。

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国ごとのランキング

iOSの場合はアプリのダウンロード数およびアプリによる収益はともに各国のGDPを反映するものになっています。つまり先進国レベルの裕福な人間がどれだけいるかによってダウンロード数も収益も順位が決まっています。

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それに対してAndroid (Google Play)の場合、ダウンロード数ではインドやロシアなど、経済発展が著しい発展途上国が登場しています。そして韓国が米国に次いで2位に付けています。

収益についてはがらりと変わり、日本が1位、韓国が2位となっています。発展途上国は上位5国からはずれます。

AppAnnieGP

考察

前回のブログではAndroid (Google Play)の収益性が地域的に大きく偏っていて、それが危険であると述べました。ここではなぜそうなっているかを考察してみたいと思います。

以下の理由があると私は考えています。

  1. iOSはiPhoneの端末価格が高価なため、世界的に見たら裕福な人が買います。そのため各国のGDPに応じてiPhoneが売れ、アプリがダウンロードされ、そしてアプリが購入されています。
  2. Androidの場合は安価な端末も売られているため、BRICSなどのように経済成長著しい発展途上国で売れています。そしてアプリがダウンロードされています。しかし、地域ごとに価格戦略もマーケティング戦略も調整が可能な端末販売と異なり、アプリの価格は世界的に統一されています。したがってこのような国では端末は安価に購入できても、アプリは割高になります。そのためアプリはあまり購入されていません。
  3. 韓国がAndroidに大きく偏っているのはSamsungやLGなどのメーカーの影響です。驚くべきことは人口が米国の1/6程度しか無いのに、アプリの購入が米国をしのいでいることです。日本もまた人口は米国の1/3程度ですし、若年層についてはもっと開きがありますので、やはり日本についてもこれだけアプリが購入されているのは驚きです。これには何らかの共通の特殊要因が存在する可能性があります。

こうなると、日韓に共通する特殊要因が何だろうと気になります。おそらくはネットワークゲームやソーシャルゲームの影響があると思いますが、米国にも同様のゲームがあるはずですので、これだけでは説明が付きません。私にはまだよくわかりません。

この特殊要因が今後、世界的にも広がっていき、米国や西ヨーロッパでも日韓と同じようなことが起こる可能性があります。しかしもうそうならなければ、Google Playは米国や西ヨーロッパで成長できなくなってしまいます。

以上、アプリの収益性を比較しながら強く思ったのは、グローバル展開について言えば、携帯端末の市場とアプリの市場は全く別物であるという点です。

1. 携帯端末は各地域のローカルの事業者が販売します。様々な工夫をして、各地域の所得水準に合致した端末を探し出してきて販売します。またメーカーは地域ごとに価格を変えることができますので、所得水準の低い地域には低価格商品を用意できます。そのため、携帯端末は所得水準の低い地域でも普及していきます。
2. それに対してアプリは世界で同一料金で販売されています。スマートフォンアプリの単価は一般に高くはないのですが、それでも所得水準が低い地域だと割高感が高くなります。アプリの低価格仕様というものはあまり作られませんし、地域ごとに限定して販売することもできません。アプリが世界同一料金になるのには理由があります。しかしこの結果、Android用であったとしても、所得水準の低い地域ではアプリはなかなか売れません。

Androidが世界的にシェアを拡大できた最大の理由は低価格戦略です。このおかげで、iPhoneを買えない低所得地域でAndroidは勢力を拡大し、Nokiaを駆逐しました。しかし、この低価格戦略はアプリでは使えません。Androidがアプリ等の収益性でもiPhoneに並ぼうとするのなら、何か新しいことをしないといけません。

Androidの収益源の危険な地域性

IDCとApp Annieからモバイルゲームに関する調査報告が発表され、iOSとAndroidを合わせた収益が、モバイルゲーム機(NintendoやSonyなど)の収益の3倍であったことが報告されています。もちろん他の統計でも報告されているようにiOSの方がAndroidよりもずいぶんと収益が多く、iOSはAndroidの倍以上があります。

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iOSやAndroidなどのスマートフォンがいずれモバイルゲーム機を追い抜くのはかなり前から予想できたことであり、必然だったと言えます。特に驚くべきことではありません。

しかしこの報告の中には、これ以外に驚くべき内容も含まれています。

Androidの地域性が異常

Androidが世界的に非常に多く売れていることは繰り返し報告されていますが、具体的にどの国で使われているかというデータはあまり出てきません。しばしば指摘されるのはiPhoneは先進国の中でも裕福な国で多く使われていて、それに対してAndroidはより裕福でない国で使われている点です(例えばこれ)。

下のグラフを見るとiOSとAndroidのゲーム売り上げに大きな地域性のズレがあることがわかります。iOSの売り上げは北米とアジア・パシフィックがほぼ同等で、西ヨーロッパがそれに続きます。それに対してAndroid (Google Play)では北米と西ヨーロッパが非常に少なく、アジア・パシフィックが圧倒しています。2013年1Qでは、Androidのゲーム売り上げのうち、実に70%がアジア・パシフィックから来ています。

さらにGaming-Optimized Handhelds、つまりNintendoやSonyなどの製品の地域性を見ると、アジアが若干多いものの、これはiOSのものと似ています。

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アジアの中でもどこで売れているのか

今回のレポートではより細かい地域性のグラフは示されていませんが、以下のように記載されています。

Consumer spending on games strengthened in Asia-Pacific on Google Play and on gaming-optimized handhelds, with Japan & South Korea leading the way on Google Play

アジア・パシフィックでビジネスが非常に好調な場合、例えば成長性や人口の多さで魅力的な中国市場を連想することが多いのですが、Androidがアジア・パシフィックで売れているのはこれが原因ではないようです。そうではなくて、日本と韓国で爆発的に売れていることが原因です。

売り上げトップランキングを見るとそのことがはっきりします。

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iOSの場合は日本のパズドラの他、フィンランドや英国、米国のゲームがランキングしています。それに対してGoogle Playの場合は韓国のゲームがトップ5のうち3タイトルも占めています。しかもこれらのゲームはGoogle Playで見る限り英語の説明文すら無く、すべてハングルで書かれています。つまり韓国限定のローカルものです。

この地域性は何を意味しているのか

Google Playにとってこの地域性は危険です。特に日本での売上比率が大きいというのは大きな不安定要素をはらんでいます。なぜならば日本でAndroidが売れているのはDoCoMoがiPhoneを売らないことによる影響が非常に多いからです。

韓国でAndroidが強いのはSamsungやLGの影響です。SamsungがTizenなどの別OSに切り替える可能性はありますが、ハードルは高く、しばらくは韓国のAndroid比率は高いまま推移すると予想できます。

しかし日本の事情は違います。日本ではトップキャリアのDoCoMoがiPhoneを売っていないため、市場の需要よりもiPhoneのマーケットシェアは低く抑えられ、Androidのシェアが大きくなっています。キャリアの問題が無ければ、iPhoneの潜在的マーケットシェアは現在よりもプラス20%近くあるでしょう。もしDoCoMoがiPhoneを売るようになれば、数年のうちに日本のAndroidのマーケットシェアは激減します。これは予想するまでも無く、明白です。

Androidはアジア・パシフィックでしか伸びていない

レポートの中のデータを加工して、地域ごとの売り上げを下図にまとめてみました。ここからわかることは、Androidの北米および西ヨーロッパでの伸びが非常に少ないということです。アジア・パシフィックでの伸びで補っていますが、Androidは世界の他の地域ではゲーム売り上げがあまり伸びていません。iOSに大きく離されている状況ですが、その差は埋まるどころか広がっています。

以上を合わせて考えると、日本のDoCoMoがiPhoneを売り出すだけでAndroidのゲーム売り上げの伸びは大きく落ち込み、成長率でiOSに引き離されてしまいます。デベロッパーを引き留めたいAndroid陣営としてはかなりまずい状態です。

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なお、以上のデータは広告収入を差し引いたものです。ただしゲーム業界にて広告収入に依存したビジネスモデルというのは非常に難しくなっているのは周知の通りです。

ゲームの意味合い

iOSにしてもAndroidにしても、ゲームは大きな収益源です。iOSではApp Storeの収益の70%がゲームから来ています。Androidはもっと極端で、Google Playの収益の80%がゲームです。それぞれのプラットフォームが収益面から開発者にとって魅力的かどうかは、かなりの部分ゲームにかかっていることがわかります。だからこそ今回のIDCとApp Annieのデータは重要であり、大きなゆがみがあるAndroidは危険な状態にあると言えます。

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Chromeが思ったほど速くないという話

ブラウザで一番高速なのはChromeじゃないかという前提でいろいろな議論がされている気がしたので、試しにベンチマークを取りました。

少なくとも私が書いているJavascriptにおいては、ChromeだろうがSafariだろうがFirefoxだろうが十分な性能が出ていますので、Android中心に話します。

下図がGalaxy SII WiMax (ISW11SC, Exynos 4210 Dual-core 1.4GHz), Android 4.0.4上でJavascriptベンチマークであるSunspider 1.0のベンチマークを実行したときの結果です。

以下のことがわかります。

  1. Chromeが一番高速とは言えない。
  2. Firefoxは独自のJavascriptエンジンを使っていますが、ChromeのV8と同等の結果が出ている。
  3. DolphinがどのようなJavascriptエンジンを使っているかははっきりわかりませんが、V8だろうとは想像しています。いずれにしてもChromeと同等の性能が出ています。

つまり、少なくともAndroid上ではChromeのJavascriptが特別に速いという感じはありません。

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ベンチマークの結果には反映されませんが、少なくとも私が書いているWebサイトを表示させる限り、AndroidのChromeはかなり遅いです。最新バージョンでも遅いです。これについては別の機会に示したいと思います。

いずれにしてもChromeのJavascriptは特別に速いとは限らないようです。Javascriptをたくさん使ってウェブサイトを書いている身としては、ちょっと残念な感じです。

プロ野球の勝率と年俸の関係

プロ野球の2013年平均年俸と2012年勝率をプロットしてみました。

セ・リーグとパ・リーグが全然違います。

Probaseball money vs wins

セ・リーグは平均年俸と勝率がキレイに相関しています。お金持ち球団が高年俸の選手を集めることで勝利を重ね、その一方で貧乏球団は高年俸の選手が奪われ、どんどん弱くなっています。

パ・リーグはまず平均年俸が競っています(セ・リーグの阪神レベル)。そして勝率と特に相関していません。

もう一つ、ここ数年の各球団の順位をプロットしました。パ・リーグは順位の変動が激しいのに対して、セ・リーグがかなり固定化してしまっているのがわかります。

今のセ・リーグとパ・リーグの一番の違いはこれだと思います。

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iTunes Storeの国際展開の強さ

AppleのFY13 2Qのカンファレンスコールを聞いて、一番興味深かったのはiTunes Store (App Storeも含む)の強さでした。

iTunes StoreについてはAsymcoのHorace Dediu氏が深く分析していて、成長のスピードおよび規模の大きさで非常に注目に値するとしています。誕生した当初は”break-even”で運営しているとしていたiTunes Storeですが、その後大きく成長しています。カンファレンスコールでは売り上げが2Qだけで4.1 billion USD(おおよそ4千億円)になったと紹介していました。売り上げの仕組みが違うので単純な比較はできませんが、楽天の2012年12月期の年間売り上げが単体で1,637億円ですので、iTunes Storeがどれだけ大きいかがわかります。

Horace Dediu氏はiTunes StoreとAmazonの比較もしています。ただしアマゾンは全体の売り上げは公開するものの、デジタル配信の売り上げは公開していませんので、単純比較はできません。

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なおGoogle Playはデータが全く公開されていませんので、情報がありません。

AppleのカンファレンスコールではiTunes Storeが多数の国で展開していることも紹介されました。音楽:119国、映画:109国、書籍:155国、アプリ:155国。このあたりはWikipediaに既に詳細に記載されていました。うち、有料の音楽が購入できるのは60強の国です。アプリは190の国で購入できます。Google Playもまた多数の国(134)で展開していますが、アプリしか買えない国がほとんどで、その他のデジタルコンテンツが買える国は極めて少数(14国)です。

Amazonについては詳しく調べていないので断言できませんが、Wikipediaを見る限り、Amazonのウェブサイトがある国がそもそも10程度しか無いようです。デジタルコンテンツの配信もこれらの国に限られているのだろうと私は想像しています。

なお比較のためにPlayStation Storeも確認しましたが、おおよそ50の国で展開しているようです。

デジタルコンテンツ配信におけるAppleのイノベーション

これだけAppleが強い背景には地道な努力がもちろん大きいのでしょうが、Appleがかなりイノベーションをしてきたことも忘れてはいけません。

違法音楽ダウンロードに各レーベルが戦々恐々としている時代に、世界でいち早く有料の音楽配信サービスを展開したのがiTunesです。アプリを配信するApp Storeのコンセプトを大きく成長させて、メインストリームにしたのもAppleです。

こういうイノベーションを先駆けたおかげでこれだけデジタルコンテンツ配信に強いのでしょう。

Samsungが偽りのレビューをWebに書くように学生を動員していた件

HTCの製品を批判するように、Samsungが学生アルバイトを動員していたという報道がBBCにありました。

台湾の公正取引委員会が調査に乗り出していて、Samsungはこの件を既に認めています。

Samsungを非難することは簡単です。しかし事実はそんなに単純ではないでしょう。おそらくは氷山の一角です。

そこでこの件からいろいろと類推してみようと思います。もちろん当たっていないこともあるでしょうが、背景の理解の助けになると思います。

Samsungという会社が問題を起こしたことの重み

Android陣営の中で、唯一まともに利益をたたき出しているのがSamsungです。他の会社は利益が出ない上、販売数も伸び悩んだり、逆に落ち込んだりしています。

当然ながら、どうしてSamsungだけが一人勝ちできるのだろうかという疑問がありました。いろいろな原因が考えられます。例えばHorace Dediu氏は販売チャンネル、広告宣伝とプロモーション、そして製造能力を挙げています。

今回の事件からわかることは、手段を選ばない、仁義なきマーケティング戦略もSamsungの成功の理由の一つだということです。

HTCに対してやるんだから当然Appleにもやっているはず

SamsungがHTCだけを非難していたはずがありません。当然ながら他のライバルに対しても同様なことはやっているはずです。Appleはその一つですし、普通に考えればAppleに対してこそ一番強力なネガティブキャンペーンを張っていたはずです。

Androidはこれぐらいやらないと売れないのか

Samsungだけが一人勝ちできた理由は一つだけではなく、仁義なきマーケティング戦略がどれだけ効果があったのかは不明です。しかし可能性としては否定できません。

仁義なきマーケティングでもやらない限りAndroidは売れないのかもしれません。

しっぺ返し

ウソに固められたマーケティングというのは、顧客にウソをつくことです。実際に製品を手に取れば、あるいは友人の製品と比較すれば、顧客はウソに気づきます。

スマートフォンはまだ売れ始めて年月が浅く、Androidについて言えばまだ90%の顧客は一度も買い換えをしていないと推測されています。つまりウソに気づいた顧客も、ほとんどはまだ新しい製品に買い換えていません。

今はしっぺ返しがまだ来ない時期です。

しっぺ返しが最初に来る(来た?)のは例えば米国市場

しっぺ返しは最初に観測されるのは、スマートフォンが早い時期から売れていた市場です。例えば米国の市場。その点で言えばちょっと不安な材料があります。

Benedict Evans氏はAT&TとVerizonのデータを元に、Androidの売り上げの伸びがほとんど止まったという分析をしています。一方でiPhoneの売り上げは順調に増加しています。

もしかしてしっぺ返しは始まったのかも知れません。

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なおいろいろな調査会社がスマートフォンの売り上げ推計を出していますが、AT&TやVerizonのデータはそれぞれのキャリアが報告した実際の数です。Apple以外は売り上げデータを公開していませんので、推計値はかなり憶測が入っています。それに対してBenedict Evans氏が使用したのはもっとも確実なデータです。

日本では

日本では信頼性の高い推計値がありませんので、statCounterのデータを紹介します。これも正確なデータではなく、またWeb閲覧数を見たものですが、時系列で多数のデータ点が公開されているのでトレンドを見るのに役立ちます。

これを見る限り、日本でもAndroidの使用率が落ち始めています。携帯の買い換えサイクルは24ヶ月ですので、タイミングを考えるとAndroidの初期ユーザの買い換えの頃から落ち始めているようです。

StatCounter mobile os JP quarterly 200804 201302

安価を売りにしたAndroidタブレットは年末商戦にだけ強い(2013年3月の米国タブレット使用統計)

Chitikaより2013年3月の米国タブレット使用統計が公開されました。

Chitikaが2013年2月に統計を公開したときにも言及しましたが、予想通りGoogle NexusやAmazon Kindle Fireの使用が落ちています。唯一堅調なのはSamsungのGalaxy Tabletシリーズです。

2月のデータの時に紹介した私の仮説を支持するデータです。

iPadは顧客満足度が高いため、口コミなどでどんどん使用する人が増えます。それに対して今回のデータを見る限り、Androidタブレットではこの自己増殖的なサイクルが回っていないようです。年末商戦など、強いプッシュがあるときだけ売れているようです。特にSamsung製品だけが好調なことから見られるように、強いマーケティングやセールスインセンティブがによるプッシュが無いと、Androidタブレットは売れなさそうです。

現時点ではまだタブレットを初めて買う顧客が多いのですが、数年後にはリピート顧客、買い換え顧客が増えます。現状が続く限り、その時のAndroidタブレットの市場は真っ暗になります。

March_Tablet_Update_Graph

Google Glassの用途って、イヤホンで十分?

Clayton Christensen氏は”Jobs to be done”の視点でイノベーションを考えることを近年力説しています。

Steve Jobsは、新しいカテゴリーを作るためには、いくつかの重要な用途で既存製品よりも優れている必要があると語っています。

Google Glassが成功するか否かを判断する上でもこの視点が重要でしょう。つまり利用者はGoogle Glassによっていったい何が便利になるのか、利用者は何のためにGoogle Glassをかけるのかという視点が大切です。

Drew Olanoff氏はTechCrunchの記事の中でこの点に触れています。

Glass isn’t a replacement for your cell phone, since you have to pair the device with the one you have for cellular or Wi-Fi coverage. It’s not a device for watching movies or YouTube videos and it’s not going to replace your computer. You won’t be able to read full search results on the tiny screen, but you’ll be able to get to really relevant information quickly.

For example, how many times a day do you pick up your phone to check the time or to see if you have any missed calls or text messages? I couldn’t count the times that I’ve wasted that arm motion. Furthermore, every single time you take your phone out, you’re telling the people that are around you that you have no interest in interacting with them for at least 30 seconds while you dive into your phone. Now, am I saying that having a screen above your eye is any less socially awkward? No. But it lets you access the same information quicker without having to stop what you’re doing.

It all goes back to the developers, though. They have the minds to push Glass forward as not just a geeky novelty, but as a platform to enhance our lives. I’m not going to sugarcoat it — this product has a lot of bumpy roads ahead of it. We have to assume that there are developers who can come up with big ideas, that consumers are ready for it and whether it can be at a price point that middle-America can afford.

Olanoff氏が言うには、たいしたアプリが無い現時点では、スマートフォンをいちいち取り出すよりはGoogle Glassを覗く方が楽で、逆にこれぐらいしか用途がないそうです。つまり「通知」の役割です。もちろんいろいろなデベロッパーが革新的なアプリを開発してくれればそれは変わるでしょうと。

これといった新しい用途が見つからず、依然として「通知」しか用途が無ければ、何もGoogle Glassである必要はありません。Bluetoothのイヤホンとスマートフォンの「通知」を連携させる仕組みが必要なだけです。

果たしてGoogle GlassのKiller Appは現れるのか?昔のApple IIにとってのVisiCalc、MacintoshにとってのDTPのようなものは出てくるのか?

VisicalcがApple IIで成功したのは、廉価なフロッピードライブがあったのはApple IIだけだったからです。DTPがMacintoshで誕生したのは、完全なビットマップディスプレイがあり、フォントが自由に使えたりしたのがMacintoshだけだったからです。すばらしいアイデアを持った優秀なソフトウェアデザイナーはいつの時代もいますので、Killer Appが誕生するためには、そのデバイスが何か革新的な何かを持っていなければなりません。

Google Glassだからこそできる何かとは何か。イヤホン以上のことをやるのであれば、当然それはディスプレイに関係しなければなりません。しかし今の世の中はディスプレイでありふれています。Killer Appの余地はかなり狭いように感じます。

Chromebook的戦略がうまくいく条件を考える

Chrome OS, Chromebook, Firefox OSはいずれもブラウザを中心としたOSで、アプリは原則としてブラウザの中で動きます。

今のところChrome OS戦略は全然うまく行ってなさそうですが(1, 2)、どうすればうまくいきそうかを少し考えます。

いくつかの重要な用途で、既存の製品の上を行かなければならない

「新しいカテゴリーの製品が成功するためには、いくつかの重要な用途で既存の製品に勝る必要があります。」これはスティーブ・ジョブズ氏がiPadの発表のキーノートで語った言葉です。

Chrome OSのようにブラウザを中心に据えたOSならば、まずは当然ウェブブラウズが既存の製品よりも優れていないと話になりません。

でもそのような話はあまり聞きません。

既存製品ではカバーされていないローエンドを狙う

「既存の製品の上を行かなければならない」というのは、既存製品を既に持っている顧客に売り込むのに必要な戦略です。もう一つのやり方は、既存製品をまだ所有していない潜在顧客を狙うやり方です。この場合はローエンドを狙うことになります。

ローエンドの狙い方は2つあります。なぜならば、既存製品を所有していない理由が2つあるからです。

1つは価格が高すぎるから所有していないケース。もう1つは使いこなせないから所有していないケースです。

したがってローエンドを狙うには以下の方法があります。

  1. 明確に安い価格を設定する。
  2. 徹底的に使いやすくする。

ブラウザを使ったUIは残念ながら使いやすくなることがほとんどありません。ブラウザの中で動かすというのはUI的には大きな制約になります。ほぼ必ず、UIはネイティブアプリに劣ります。したがって2番目の「徹底的に使いやすくする」というのはうまくできません。

したがって残るやり方は1番目の「明確に安い価格を設定する」です。

「明確に安い価格を設定する」にはどうするか

既存製品よりも明確に安い値段を設定するためには、機能を省くしかありません。機能を省きつつ、顧客が大切だと感じるものは残すことが必要です。しかも単純に引き算するというのであれば、既存の製品のラインアップの中で行われているはずです。したがって何か革新的なぐらいの機能の省き方が必要です。

Chrome OS的なブラウザ中心のアプローチがこのような革新的な機能省略を可能にしてくれるかどうかがポイントです。

Chromebookの場合、このような省略の試みは特に見られません。ブラウザ中心ならハードディスクがいらないのではないかと想像できますが、ChromebookはすべてハードディスクやSSDを搭載しています。Chromebookが何か大きな機能省略、コスト省略を可能にしない限り、勝ち目がありません。

Firefox OSは、ブラウザ中心にOSの階層構造を考え直すことによって、より低スペックのデバイスでも十分な性能が出るとしています。これが実現すれば、明確に安い価格設定が可能になるかも知れません。ただし現状では実現可能性が未知数です。

まとめ

ブラウザ中心にすることで、何が省略可能になるか。どのような革新的なコスト削減が可能になるか。

これがはっきりしていればブラウザ中心のOSの勝ち目があり、これが曖昧なら絶対に勝てない。そんな状況だろうと思います。

GoogleのNexusが売れていない

GoogleのNexus 7を中心にm、GoogleのNexus戦略はあまりうまく一定なさそうだという話をこのブログで何回かしています。要するに話題性とは裏腹に、Nexus 7はあまり売れていなさそう(使われていなさそう)なのです。

1. [北米における2013年2月のタブレットの使用統計](http://naofumi.castle104.com/?p=2023)
2. [タブレットにおけるAndroidの追い詰められた現状](http://naofumi.castle104.com/?p=1988)

さらにそれを裏付けるデータが、Googleが公開しているデータの分析から明らかになりました。

[Nexus tablet sales: not many](http://ben-evans.com/benedictevans/2013/4/17/nexus-tablet-sales-not-many)

もうかなり間違いないです。Nexusはあまり売れていません。