マーケティングにおける製品のカニバリゼーション

マーケティングではカニバリゼーションという用語があります。マーケティングという職業をやっている人に中には、自社製品間のカニバリゼーションはなるべく避けるべきだと考える人がいるようです。

例えばGoogleするとこんな感じ;

  1. http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_262.html
  2. http://mbasolution.com/onepointmba/lesson60.htm

詳細はお話しできませんが、前職でも新製品発売時にカニバリゼーションが話題になりました。その新製品が旧製品の売上を奪ってしまうのは問題だというのです。だから新製品の用途をマーケティング的に制限して(いわゆるセグメント分けとか差別化とかいうやつです)、旧製品の売上を守ろうという議論がありました。

もっとひどいのは、それができないのならば、今までのお客様には新製品のことはなるべく黙っていようという話がまことしなやかに行われていたことです。

でも誰が見ても、大部分の人にとってあらゆる用途で新製品の方がいいのです。なのにどうして新製品のことを黙っていようというのか。マーケティングを中途半端にしか勉強していない人の理屈というのは、ときとして摩訶不思議な結論を導いてしまうようです。

マーケティングをもっとしっかり勉強すると、別の見方ができるようになります。ということで、Apple社のSteve Jobsはどう考えているかを紹介します。USA Todayとのインタビューでの言葉です。

 Q: The iPod Touch is very similar to the iPhone — all that’s missing is the phone and built-in camera. Are you concerned about cannibalization?

A: If anybody is going to cannibalize us, I want it to be us. I don’t want it to be a competitor.

和訳すると;

Q(記者): iPod TouchはiPhoneと非常に似ているように思います。電話機能とカメラが無いだけです。自社製品間のカニバリゼーションは気になりませんか?

A(Jobs): もしどこかの製品がiPhoneとカニバリゼーションするのなら、それはうちであった方がいい。競合他社にカニバリゼーションされて欲しくはない。

 

ちなみに上記の前職での新製品ですが、日本だけはカニバリゼーションを気にしないという戦略をたててやったこともあってか、他国と比べてもすごく良く売れました。

もう一つ、カニバリゼーションを防ぐ戦略をとると、マーケティングと営業の意思疎通が難しくなります。カニバリゼーション防止戦略のもとでは、回りくどい差別化ポイントを説明しないといけないし、訪問する顧客もうまく選ばないといけません。それに対してカニバリゼーションを無視すれば、「とにかく多くのお客様が望むものを提供しよう」という単純な戦略を採ることができますし、単純なメッセージをなるべく多くの人に伝えればいいだけになります。戦略が単純になるので、マーケティングと営業が一体となって活動しやすくなります。

これを何回説明しても、わかってくれない人はわかってくれないんですけどね。中途半端なマーケティングの知識がいかに有害か、その良い例だと思います。