「ソニーも新OSスマホ 新興国向け」という記事を受けて

朝日新聞に「ソニーも新OSスマホ 新興国向け、14年発売目指す」という記事が出ました。

興味があるのは、メーカーがFirefox OSをどのようにとらえ、どのように活用しようとしているかです。

携帯のOSは現在、米アップルの「iOS」と米グーグルの「アンドロイド」が主流。ソニーはアンドロイドを使っているが、グーグルが求める仕様を満たす端末をつくるのに開発コストがかさむことがあるとされる。

まだFirefox OSの全容、特に低スペックデバイスでの動作について詳しく紹介した記事がネットに出てこないのではっきりはわかりませんが、先日のKDDIの石川雄三氏の発言と合わせると、ある程度特徴が見えてきます。

  1. 低スペックのデバイスで動作すること: これはおそらく低速のCPU (1GHzシングルコア)や512MB以下のRAMでしっかり動作することを指しているのでしょう。Android 4.0以降はRAMは1GByteが事実上の最低スペックになっており、かなり高スペックが要求されているのは事実です。
  2. バックグラウンドでのネットワーク使用が制限できる: これについては詳細はわかりませんが、KDDIの石川氏が明確に述べているので、事実でしょう。かなり興味深いスペックです。

Android 4.0以上はかなりの高スペックを要求するOS

Androidが要求するスペックがどれぐらい高いかについて考えてみます。

Androidの最新機種はクワッドコアの1.7GHzのCPUを使用しており、iPhone 5のデュアルコア 1.0-1.3GHz CPUと比較してかなり強力になっています。またAndroid 4.0へのアップグレードが提供された機種はいずれもCPUがシングルコア1GHz超(大部分はデュアルコア)、RAMが1GHzであり、RAM 512MBのものは容量不足のためアップグレードされなかったという記載があります。

それに対してiOSの場合は、2009年に発売されたiPhone 3GSもiOS6を搭載できますが、CPUは600MHz, RAMはわずか256MBです。iPhone 3GSはiOS5でのベンチマークが良好であり、おそらくiOS6になっても十分な性能が出ていると思われます(簡単なレビュー)。Appleがまだ好調に売っているiPhone 4もRAMは512MB, CPUは800MHzで、ハードウェアだけ見るとAndroid 4.0が乗らないぐらいのスペックです。

このようにAndroidはiOSと比べて高いハードウェアスペックを要求する傾向があり、低スペックマシンで最新のAndroidを動かすことは不可のな状況です。

発展途上国のスマートフォンのスペックは?

例えばブラジルでは”iPhone”の商標はAppleではなくGradiente社が持っていますが、そのGradiente社が発売する“Smartphone linha G Gradiente iphone, modelo Neo One GC 500” ($291)の性能を見てみましょう。

  1. CPU: 700MHz シングルコア
  2. OS: Android 2.3.4 Gingerbread
  3. 320 x 480 pixels
  4. タッチスクリーンはあるものの、マルチタッチはできない

相当な低スペックです。

Androidでは発展途上国のスマートフォン需要をカバーできない

はっきりしています。Android OSが今向かっているのはiPhoneとハイエンドを争うという戦略であり、発展途上国でAndroidが使われているのは主として古いGingerbread (2.3)やFroyo (2.2)の機種です。Android 4.0が無料のオープンソースであるにもかかわらずこれが使われていないのは、要求ハードウェアスペックが高すぎるからです。

低スペックのスマートフォン用でしっかりサポートされたOSが無いというのが現状です。Androidはここを全くカバーしようと考えていないのです。

ということでFirefox OSは発展途上国で成功するか

Google Androidが発展途上国の市場を半ば放棄している(古いOSでカバーしようとしている)状況を考えれば、Firefox OSもしくはSamsungのTizen OSが発展途上国でかなりの成功を収めるのは必至です。実は発展途上国のパソコンのOSがずっとWindows XPで、無料のLinuxがあってもそれに切り替わらないという状況がありますが、スマートフォンに関してはメーカーとキャリアがかなり本気です。パソコンOSのようにはならないでしょう。