「教えない教育」が眠れる能力を目覚めさせた

自分が最初に入社した会社の話ですげ、NBonlineに非常に興味深い記事がありましたので、紹介します(無料登録必要)。
協和発酵工業の「教えない教育」が眠れる能力を目覚めさせた

協和発酵に入社する40人の新人に対するMR(医薬情報担当者)導入教育の話です。どこの会社でもそうですが、医薬営業のMRとなる新人は、入社直後に医学薬学の猛勉強をして、MR認定試験に合格する必要があります。そのため、協和発酵では4月から8月まで5ヶ月の研修を受けるそうです。今回の話は、その教育をしっかり実施し、よりレベルの高いMRを如何にして育てるかの話です。

要点は

  1. 2005年度までは受講者がひたすらノートを取るという一方通行型の、詰め込み型の教育をしていた
  2. 「知識そのものではなく、知識の習得の方法を教える」という「教えない教育」に2006年度から取り組んだ。
  3. 「教えない教育」では、受講者に自ら目標設定をさせ、様々な情報源から知識を収集させ、討論させる。
  4. 各自で調べたことはグループ内で共有した上で、他のグループにプレゼンテーションする。そうして、自分の知識を整理する。またグループごとに交代でテスト問題を作り、他のグループにテストを受けさせる。
  5. 「教えない教育」は講義形式に比べて研修時間が大幅に増える。でも一旦覚えたことは忘れにくい。
  6. 「教えない教育」の成果は、結果としての売上増という形で確認するのではなく、毎日の活動報告書を分析することによって行った。売上増が見られるのは早くて数年後だが、活動報告書の分析は短期間で成果が確認できる。

この「教えない教育」は協和発酵だけでなく、他の製薬企業でも実施しているらしいです。

僕はこの「教えない教育」が非常に優れていると思うのと同時に、バイオの業界に非常に適しているのではないかと思いました。理由としては以下の点が挙げられます。

  1. バイオの営業に適した教科書はないと言っていいと思います。私自身、何回か探したことがありますが、生物学そのものではなく、最新の研究手法の技術的側面をしっかり解説した入門書がなかなか無いのです。詰め込みをしようにも、せいぜいできるのは自社製品をすべて説明するぐらいで、より広い知識を伝えるための教材を作るのは非常に大変です。
  2. バイオの技術は日進月歩なので、技術そのものを教えるのではなく、技術を学習する方法を伝えたほうが、長い目で見たときに効率的です。
  3. 顧客である研究者も、それぞれ「教えない教育」で実験や研究の方法を学んできています。顧客の思考回路を理解するためには、営業の人が自ら「教えない教育」を受けることが近道です。

そしてバイオの買物.comがその役割の一つとして、「教えない教育」を支援するポータルになって欲しいと思っています。ウェブに散らばっている様々な情報を、一カ所に集めて整理するのがバイオの買物.comの使命です。これが陰ながら研究者、メーカー営業、代理店営業、メーカー学術の「教えない教育」をサポートすることになればいいなと。