博士号取得者は○×ができるという議論はやめよう

ぼくのTwitterのタイムラインでは、博士問題を取り上げたり、その解決のために努力をされたりしている人がそれなりにいます。

博士問題、つまり博士の就職難の問題に取り組む姿勢そのものは高く評価しています。しかしその時に「博士号取得者は技術に詳しい」もしくは「博士号取得者は独自に道を切り開く力がある」と言う人がいます。博士号取得者が優秀である、もしくは優れた経験をしているという主張です。

希望的にそう思いたいという気持ちは分かりますが、科学的根拠がないことを科学者が言っちゃいけないと思います。ロジックとしては博士号取得者は優秀だという議論は可能ですが、博士号取得者の方が○×ができるというデータってあるんでしょうか。特に同じ年数を企業で過ごした人と比較して。

入手しやすそうなデータの一つとして、博士課程に入学した人のうち、実際に博士号を取得した人の割合があると思います。ちゃんとした数字は調べていないのですが、例えばインターネット上ではこういうページがあります。まぁまぁ僕の出身学科に近い数字ではあるので、個人的にはこれで大体正しいかなと思っています。ちゃんと調べた結果、もし紹介したページのように理系で博士コースに進学した学生のうちの50%-70%もの人が博士号を取得するというデータになったとすると、例えば「博士号取得者は独自に道を切り開く力がある」ということはもう言えないですよね。

博士号取得の失敗率が低いわけだから、「選抜」は行われていません。かといって、医学部のように医学の体系的な教育がされている訳でもありません。ですから博士号というのは3年間研究をし、平均的な成果が得られ、それを論文にまとめたことに対する学位であると考えるのが妥当ではないでしょうか。それ以上でもそれ以下でもないはずです。

「証明書」があることを除けば、博士号を取得した人と、修士で企業の中で3年間研究をしていた人は基本的に等価です。希望的観測なくして、これ以上のことは言えないはずですし、言ったところで問題は解決に向かわないはずです。