日本ってなんで今日の多数の問題を抱えているかを考えてみる

今流行の官僚バッシングとか政治バッシングをするのではなく、

諸行無常
盛者必衰

の観点から考えたいと思います。

つまり日本が多数の問題を抱えているのは決して官僚とか政治家が大バカな判断をしたからではなく、自然と「たけき者も遂には滅びぬ」ことになる力学が存在するという観点から見てみます。

なお、これは僕が好きなChristensen氏の考え方に通じます。Christensen氏は企業や市場においてInnovator’s Dilemmaがあって、正しい経営を続けていても「遂には滅びぬ」と解説しています。

さて本題です。今の日本が抱えている問題は日本固有の問題ではなく、自然と起こる問題なのかどうかを見て行きます。とりあえずは少子化問題と景気の問題を見ます。

少子化問題

日本が抱えている多数の問題の中でも、これが最も根源的なものだと僕は思っています。

さて現代の先進国が少子化問題を抱えやすいというのは、だいたいどこの国を見ても確かです。ヨーロッパ、そして韓国等のアジアの先進国がそうです。したがって少子化問題が起こっていること自体は「必衰」と言えると思います。なんでそうなってしまうのかは諸説あると思いますが。

出生率
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不景気

今の日本が不景気だという前に、そもそも何で日本は経済発展できたんだろうかを考えてみたいと思います。別の見方をすれば、日本が経済成長した頃の原動力は何だったんだろうかということです。

日本が経済成長できたのは勤勉だったからだとか、学力があったからだとか、技術力があったからだとか、モノ作りが得意だったからだとか、いろいろなことを言う人がいます。総合すると日本が経済成長できたのは日本国民が優秀だったからということです。でもこの考え方はただの下等なナショナリズムで、完全に間違っていると思います。

というのは、韓国にしても台湾にしてもシンガポールの成長を見ても、日本の高度経済成長期ぐらいのことはできているからです。少なくとも東アジア文化圏の国の大半は、日本国民と同じぐらいには優秀そうです。

日本が1950年代から1980年代にかけて経済成長できたのは、恐らくは韓国、台湾が経済成長できたのと同じ理由、そして今の中国が経済成長をしているとの同じ理由ではないかと思います。ひとことで言えば、安い人件費と強い上昇志向の組み合わせによって、先進国で売れる製品が安く作れたからです。1960年代までは日本製品は今の中国製品と同様、おおむね「安かろう悪かろう」だったことを忘れてはいけません。

日本が1970年頃から先進国の仲間入りをすると、だんだん今までのやり方が通用しなくなりました。それから20年間は価格勝負ではなく、とことん品質と性能を高め、差別化することによって成長を続けました。しかしChristensen氏がInnovator’s Dilemmaで解説しているように、この戦略で成功し続けられる時間は限られています。遅かれ早かれ、技術の発展により過剰品質になり、そして低価格製品に席巻されてしまいます。これが今の日本の経済問題の根源だと僕は考えています。

「おごれる人も久しからず 」そのままです。先進国の仲間入りを果たしたばかりの日本が、新興の先進国に国家のビジネスモデルを真似られ、凌駕されるのは時間の問題でした。国家として何か別のビジネスモデルを編み出せなければ。

解決の糸口

またしてもChristensen氏の話をします。彼はThe Innovator’s Dilemmaにおいて、経営判断を正しく行ったとしても、会社はいずれ衰退すると説いています。その運命から脱却する方法についてはThe Innovator’s Solutionで議論しています。もちろん企業の話をしていますが、国家の運営にも通じると思います。

そしてChristensen氏が言うのは、とにかく古いものや古いシステムにとらわれず、新しいものを生み出せるようにしなさいということです。

新しいものは古いシステムとうまく波長が合わないものです。生まれたてほやほやの新しいシステムは、既存のシステムよりどうしても見劣りします。ですから古いシステムの影響があると、新しいものは役立たずと断じられ、芽が摘まれてしまいます。新しいものは独立させなさいというのは、そういう意味です。新しいシステムは今は頼りなく見えるかもしれませんが、古いシステムはいずれは必ず取って代わられます。通常の経営判断とは別に、信念に基づいて新しいものをインキュベートしないといけないのです。

日本は平家物語を生んだ国ですから、諸行無常を理解し、盛者必衰を理解し、既存のものが今はどんなに優れていても、信念を持って新しいものに投資することができても良さそうな気がします。

でもできないんですよね。いつまでも古いものにしがみついてしまっています。

新しい世代への投資を積極的に行わない。新しい産業に投資を行わない。

代わりいつまでも古い産業(建設だけでなく、自動車や家電を含む)に国費を投じ、その分、医療や福祉や教育は後回し。

ちょっと悲しい。