永井一正さんのコメントを考える:東京オリンピック2020 ロゴ問題

東京オリンピック2020の公式エンブレムの盗作疑惑について、審査委員の代表、永井一正さんがコメントをした。

まず第一印象としては、非常に丁寧な印象がある。というか、まともである。ネットで「佐野チルドレン」と呼ばれている、佐野研二郎氏を擁護するデザイナーたちのあまりの下品さと比べると、「あぁ、こういう話し方をする人の意見ならちゃんと真面目に聞いてみよう」って思わせる。

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ただ、だからと言って永井さんのコメントを鵜呑みにはできるわけではない。この問題は依然として不思議な点が残っているからである。

そして永井さんのコメントの一つ一つを取り上げて、それを疑うことは私はあえてしない。なぜなら今回の問題の大きさを考えれば、永井さんを信じる切る十分な理由がないからである。ここまで大事になったからにはすべてに懐疑的にならざるを得ない。

それよりも以下のことに注目するべきだと感じる;

  1. 問題が表面化してから20日以上経ったタイミングで初めてデザインの変遷に言及したこと。本来であればこれは8月5日の記者会見で言及があってもおかしくないし、私も、大阪芸術大学の純丘曜彰教授も、そしてベルギーの劇場のデザインを手がけたOlivier Debie氏自身もここを突いている。これだけの間、審査員に口止めをしていたという事実だけははっきりしている。その裏には、何か疑わしい事情があったのではないかと想像してしまう。
  2. 「個人的には、応募されたほかの案や審査の過程も公表した方がいいと思う」と永井氏はコメントしているが、この含みのある表現が気になる。大会組織委員会が記者会見を開くのではなく、永井氏が朝日新聞の単独インタビューに応じる形でこの情報が出てきているのも疑わしい。大会組織員会が本気で審査過程を公開するつもりなのか、それとも時間稼ぎをしようとしているのか。どちらかという後者のように見える。

何しろごく少数の審査員が密室で議論を行ったというだけの審査過程である。しかも、もし佐野氏のオリンピックエンブレムを取り下げるとなると、審査員自身にも損害賠償責任が及ぶ可能性だってあるし、デザイナーとしてのキャリアはもちろん大きく傷つく。審査員としては嘘をついてでもなんとかやり過ごそうと思うはずだ。そしてそのために時間稼ぎをした可能性は否定できない。

永井さんのインタビューはその疑念を払拭するものではなく、考えようによってはより疑念を深くするものであったと私は感じる。

STAP細胞をめぐる研究不正でも第三者による不正調査委員会が立ち上げられ、調査が進められた。今回のオリンピックエンブレムの件でも是非そのような調査をしてほしいものである。