金融業界の適正なサイズを人体の血液量と比較してみる

今では金融業界は学生にとってはかなり魅了のある業界で、給料もいいし、エキサイティングだと考えられています。

でも私が小学生だった1970年代は、金融業界と言えば銀行であって、お堅い仕事で給料はいいけど、エキサイティングなイメージはありませんでした。他人のお金を使ってリスクの高い投資をしたり、そういうことはしていませんでしたし、M&Aなども多くありませんでした。

このように金融業界が変質してしまったことを危惧し、これこそが金融危機の遠因であるとPaul Krugmanなどは語っています。

例えば米国において、60年前の金融業界の大きさはGDP比で2.3%だったの対して、2005年には7.7%と3倍近くふくれあがっています。給料も高く、エキサイティングなので、優秀な学生がこぞって金融業界に就職しています。(The Equilibrium Size of the Financial Sector)

Financial sector growth

日本では金融業界も同じように膨らんでいるようです。日本の金融業界は2010年時点で 41兆円の規模ですが、日本のGDPは480兆円弱なので、金融業界の規模はGDP比で8.5%です。

でもちょっと待って考えてみましょう。そもそも金融業はどうして存在するのでしょうか。製造業やサービス業は具体的な形で我々の生活を豊かにしてくれますが、金融業がどのように我々の生活に貢献しているのかはあまり明確ではありません。

例えば全国銀行協会のホームページではこう書いてあります;

お金は経済社会の血液

お金はよく私たちの社会生活における血液に例えられます。ある時は企業から個人へ、ある時は個人から企業へ、またある時は個人・企業から国・地方公共団体へと、ちょうど人間の体の中を血液が循環するように流れ動いて、経済社会に活力を与えているのです。こうしたお金の流れのことをマネー・フロー(資金循環)といいます。

さて問題は、「血液」の役割を果たす金融業界が全GDPの2%であるべきなのか、それとも8%であるべきなのかです。

人間の全血量は体重の約8%だそうです。そして1/3を出血で失うと生命が危機にさらされるそうです(健康管理の栄養学)。

へぇー現代の金融業界と同じレベルかなとも思う一方で、血液は金融だけでなく運送の役割も果たしていることも考慮しなければなりません。その規模がどれぐらいかというと、物流だけでおおよそ20兆円、旅客業界は数字が見つかりませんでしたが、恐らく20兆円ぐらいではないかと想像してみます。合わせて運送で40兆円ぐらいと想像してみます。

それで金融業界と運送業界を足し合わせると81兆円となり、GDP比で16.8%。人体の全血量よりもずいぶんと多くなってしまいます。

どうも現代の国の経済構造は、人体と比べると血液的な役割が2倍ぐらいに大きくなってしまっているようです。全GDPの1/6ぐらいを血液的なものに回しているみたいです。

まぁ血液量と金融業界のサイズを比べることの意味はそんなにないかもしれませんが、そもそも適正な金融業界のサイズが経済学的に分かっていないことを考えるとやっても良い比較だとは思います。そしてその結論は、金融業界が大きすぎるといういうものです。

私は今の金融業界は白血病だと思っていますけどね。経済全体に貢献することを忘れ、自分自身の拡大のために金融業界が働いているという意味で。