スマートフォン市場が飽和する予感

『フィーチャーフォンユーザーの約6割がスマートフォンに必要性を感じていない』という調査結果がMMD研究所から出たそうです。

  • 約8割のフィーチャーフォンユーザーがスマートフォン購入を決めていない
  • フィーチャーフォンユーザーの約6割がスマートフォンに必要性を感じていない
  • フィーチャーフォンユーザーがよく利用する機能は「通話、メール機能」、インターネット利用は約2割
  • フィーチャーフォンユーザーの半数以上が3年前以上に購入した端末を使い続けている

NewImage

NewImage

この人たちに何を提供すれば良いか

ではこの人たちは何を買ってくれるのかと前向きに、建設的に考えてみます。

  1. 月額料金が低い製品。
  2. 電池が長持ちする製品。
  3. 通話ができる製品。
  4. メールが使える製品。
  5. カメラが使える製品。

もちろん現時点ではこの条件を満たすのがフィーチャーフォンしかなくて、それでフィーチャーフォンを使い続ける訳なのだが、同じ条件を満たしたスマートフォンがあれば良いのではないかということも言えるので、そのあたりを考えるべきだと思います。

月額料金

月額料金を安くするためには、本体価格を抑えることとデータ通信料を少なくすることが重要でしょう。本体価格についてはスマートフォンの方がむしろフィーチャーフォンより安い(例えばGalaxy S2が$250に対して、フィーチャーフォンは4万円)といわれていますので、問題はデータ通信料に絞れます。

この人たちが必要としているデータ通信は「メール機能」ですので、「メール以外はバックグラウンドで通信しない。それもキャリアメールだけ。」というスマートフォンを作れば良いのではないかと思います。そしてこの料金はフィーチャーフォント同じでメール件数に応じるようにすれば分かりやすいと思います。

電池

電池を長持ちさせるには、CPUの性能を落とし、画面を小さくし、バックグラウンドでの動作をやめさせればかなり持つようのになるはずです。

WiFi

メール以外のデータ通信は通常は完全にオフにして、WiFiと接続しているときだけインターネットができるようにすれば十分です。アプリのダウンロードなどのスマートフォンとしての魅力は、これだけでかなり実現できます。

最後に

上記のようなスマートフォンが必要とされているのはキャリアだってわかっているはずです。なのにどうしてこういう機種が出ないのか?

最大のネックは「メール以外はバックグラウンドで通信しない。それもキャリアメールだけ。」、こういうカスタマイズができないのか、それとも分かりにくいのか。

そのあたりが気になります。

AppleのiOS 7紹介ビデオからデザインコンセプトを学ぶ

バックアップ

iOS 7の紹介ビデオの中で、Jonathan Ive氏がいろいろ大切なことを言っていますので、そのメモ。

True simplicity is derived from so much more than just the absence of clutter and ornamentation. It’s about bringing order to complexity.

Distinct functional layers help establish hierarchy and order, and the use of translucency gives you a sense of your content.

In many ways, we have tried to create an interface that is unobtrusive and differential. The design recedes, and in doing so actually elevates your content.

Androidの次期バージョン 4.3 から示唆されること

GoogleはAndroidの開発スピードを落としていると考えられる

先日のGoogle I/Oで公開されることが期待されていたAndroid 4.3ですが、実際には公開されることがありませんでした。その代わりにGoogle Play MusicだとかGoogle Mapsの強化などについて発表されたようです。

Androidのバージョン履歴を見るとAndroid 4.2のSDK公開が2012年11月ということで、まだ半年ちょっとしか経っていないので特に間隔が空いているわけではないことがわかります。しかしAndroid 4.3はコードネームが4.2, 4.1 (2012年6月)に続いて”Jelly Bean”だと言われており、一年以上を同じコードネームで引っ張ったのはAndroidの歴史では異例と言えます。

しかもAndroid 4.3もまた”Jelly Bean”がコードネームだと言われています。そうなると”Jelly Bean”がもしかすると1年半ほど最新のAndroidであり続ける可能性があります。

継続して同じコードネームを使っていることからも想像されるとおり、Android 4.3の変更点はあまり多くないだろうと予想されています。

Andy Rubin氏の元では半年に一回は新しいコードネームのリリースがあったのに、彼がAndroidプロジェクトから外されたら開発スピードはどうも落としているように感じられます。

Androidの開発スピードを落とすのはGoogleの全体戦略である可能性

その意図はいったいなんでしょうか。少し考えてみます。

  1. Andy Rubin氏の頃のAndroidは、とにかくiPhoneに追いつくための必死の開発でした。それがJelly Beanでとりあえず追いついたとGoogleは考えたのかも知れません。もしそうならば、大幅に刷新されたiOS 7に追いつくためにも再度開発のスピードを上げていくかも知れません。
  2. Andy Rubin氏をAndroidから降ろし、代わりにSundar Pichai氏にAndroidも担当させるようにした背景にはAndroidの方向転換があるのではないかと私は以前に推測しています。その一つに「Androidが一番魅力的なOSである必要はない」が新しい方針の一つではないかと述べました。もしこれが事実ならば、Androidの開発スピードを落としたのは戦略的であり、なおかつiOS 7が登場しても開発スピードを上げない可能性があります。
  3. Android 4.3の先にあるAndroid 5.0にリソースを集中させているのかも知れません。しかしウワサを見る限りではAndroid 5.0もそれほど大きな刷新が予定されていないようです。むしろスマートフォン用のOSとしてではなく、腕時計とかそういうデバイスを狙っている可能性があります。

この中で私は2と3の可能性が高いと感じています。そして2と3が同時に起こっていると考えています。

つまりこうです。

  1. そもそもGoogleは、ウェブ検索とそれに連動している広告事業を収益の柱としていて、それ以外の事業ではインターネット利用者を増やすためのものでした。検索と広告を除いて、収益性を重視するのではなく、むしろ価格で競合を排除する戦略が一貫して取られています。
  2. その中で考えると、Android事業のそもそもの狙いはスマートフォンによるインターネットの利用を増やすことでした。そしてインターネットの中でも、Googleの広告が掲載されているウェブサイトが利用されるようにするのが狙いでした。
  3. スマートフォンによるインターネットの利用、特にGoogleのサイトの利用を拡大するのに必要なのはiPhoneに対抗することではなく、a) iPhoneユーザにGoogleのサービスを利用してもらうこと、b) iPhoneが買えない顧客セグメント向けのスマートフォンを提供すること、です。仮にAndroidがiPhoneに勝利しても、それでインターネットの利用が増えるわけではありません。
  4. Androidの目的を考えると、まだスマートフォンを買っていないユーザ、高くて買えないユーザを狙うのが正しい選択です。したがってローエンドにフォーカスするべきです。
  5. ただし大きな問題は、ローエンドのユーザはウェブ利用率が少ないことです。またコンテンツをあまり買わないということです。したがってローエンドを狙う戦略は収益力の限界があります。
  6. そうなると新しい市場を開拓して、比較的裕福な人を顧客にできるようにしないといけません。比較的裕福な人は既にインターネットにどっぷりつかっていますが、さらにどっぷりつかるようにさせたいというのがGoogleの狙いになります。だから車の中とか、腕時計とか、テレビとかをGoogleは狙います。
  7. しかしこういう新しいコンシューマ市場の開拓は簡単ではなく、特に末端顧客にお金を払ってもらうものに関してはGoogleはことごとく失敗しています(低価格で既存市場に入り込むのはそこそこ成功していますが)。

そもそもAndroidの新バージョンはちょっと虚しい

もう一つ大きな戦略よりもむしろ現実を直視した事実として、Androidの新しいOSを開発するのはかなりむなしいところがあります。せっかく新しいものを作っても、利用する人の割合が少ないからです。未だにAndroid 2.3が一番利用者が多いことからもわかるように、Androidの新しいOSが出てきてもインパクトは少ないのです。

それよりはChromeアプリとかGoogle Mapsとかを改良した方がマシです。少なくともAndroid 4.0以上の人には利用してもらえます。

近未来予想

以下のシナリオを考えます。私の中ではかなり可能性の高いシナリオです。

  1. Googleはスマートフォン用のAndroidをフォーカスから外し、開発スピードを落とします。
  2. それに代わって、自動車、テレビ、腕時計、ゲーム機などでAndroidが使われるように開発のフォーカスを移します。
  3. しかしGoogle TVの大失敗、Nexus Qの大失敗、そしてスマートフォンだってほとんどサムスンの一人勝ちになってしまったことなどを踏まえ、ハードウェアメーカーは以前ほどはGoogleと積極的に組まないでしょう。
  4. 結果として初期のモデルはあまり売れず、GoogleとしてはNexus戦略で腕時計、ゲーム機に参入するでしょう。しかし自動車、テレビはGoogleが持つノウハウでは入り込めず、あまり打つ手がないでしょう。
  5. そうこうしているうちにAppleはこのどれかで成功し、新規市場を開拓します。
  6. GoogleはまたAppleが創造した市場に入り込み、低価格路線で対抗していきます。
  7. もしGoogleがスマートフォン市場のフォーカスを永く欠く状態が続けば、Firefox OSなどが入り込むスキが生まれます。もちろんローエンドで。
  8. ただしGoogleとしてはローエンドスマートフォンの市場に侵入されても、特に強力に対抗するインセンティブは必ずしもありません。収益への影響が少ないからです。

ポイントはGoogleがAndroidの開発をフォーカスから外し、新しい市場に注力していく可能性です。そして今までの実績でいうと、新しい市場の開拓には失敗し続けていることです。