Chromebookが売れているという記事があるので、それを検証する

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アップデート

U.S.でIT業界のアナリストをしているBen Bajarin氏にいろいろ確認をし、新しいポストに掲載しました。

  1. “U.S. Commercial channels”というのは、日本でいえば大塚商会のように、企業や政府機関、教育機関にソリューションを卸しているところのようです。
  2. Chromebookはほとんどが教育機関に売られているようです。
  3. Chromebookは“specific-purpose”であり、教科書代わりに使われているようです。

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「Googleの激安ノートPC「Chromebook」のシェアが急増、WindowsノートPCを脅かしている実態が明らかに」と題した記事がGigazineに掲載されていたので、その内容を検証します。

まずGigazineの記事を詳しく見ていきます。

引用しているのはNPDグループのレポートです。元のウェブページも見ながら、検証で重要なポイントを拾い上げてみました。

  1. 調査内容は2013年1月から11月までの間に全米流通ネットワーク (U.S. commercial channels)で販売されたデスクトップPC・ノートPC・タブレット端末の台数です。この“commercial channels”が何を指すのかは今ひとつはっきりわかりません。例えばメーカーの直販ウェブサイトが含まれているかどうかがわかりません。
  2. Gigazineも引用しているグラフには“Preconfigured desktop and notebook sales only”の注記があります。ユーザがハードディスク容量やメモリの容量を変えているものは別だということです。このことからデータにメーカー直販ウェブサイトは含まれていないのではないかと推測されます。
  3. “U.S. commercial channels”で発売されたのは2012年1-11月で14.4 million台のdesktop, notebook, tabletです。参考にGartnerはUSのPC販売台数を1Q13で14.2 million台2Q13で15.0 million台3Q13で16.1 million台としています。なお参考までに4Q12は17.5 million台なので、4Qに販売台数が伸びる季節性はあるようです。Gartnerの調査はNPDと異なりtabletを含みませんので(Gartnerはtabletの世界的な出荷台数を2013年10月時点でPCの303 millionに対して184 millionと見ています)、NPDが見ている“U.S. commercial channels”というのは、米国のPC市場の10-20%程度になるのではないかと私は見ています。つまり“U.S. commercial channels”というのは全体のPC販売台数の極一部でしかないと思われます。
  4. NPD自身は2013年6月30日–9月7日の調査でChromebookがU.S.で175,000台売れたとしています。そして同期間のPC販売台数の3.3%を占めたとしています。それに対して“commercial channels”の下記の表を見ると、chromebook / (PC + chromebook) = 9.6% / 73.3% = 13%なので、“commercial channels”のchromebookのシェアはPC全体の13%となります。両方ともNPDのデータなのですが、大きな乖離があります。

以上を考えると、“U.S. commercial channels”というのがどうもくせ者のように思えます。“U.S. commercial channels”といのは米国においてはかなりマイナーはPC販売の形態であり、市場全体とは異なる傾向を示しているようです。下記の表で見る限り、Apple Notebooksもかなり少なめに出ています(“U.S. commercial channels”では1.8% / 73% = 2.5%, NPDの2013年6月30日–9月7日調査では20.3%)。

DELLは原則直販ですし、Appleも直販が多いでしょう。Gartnerのメーカー別U.S.シェアとNPDの“U.S. commercial channels”の表を比較しても、際立つのは“U.S. commercial channels”にはDELLがいないこと、そしてLenovoが相対的に多くなっている点です。

“U.S. commercial channels”でChromebookが売れるようになったといっても、全体としてChromebookが売れているわけではなさそうだし、どうして“U.S. commercial channels”だけが強いのかがまだわかりません。コンピュータのことがよくわからない顧客が、圧倒的な値段の安さ、もしくは販売員の薦めで買っているだけの可能性も否定できません。少なくとも現時点でMicrosoftに対して脅威になるというのは時期尚早ではないでしょうか。

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