Springerが論文管理オンラインソフト CiteULike のスポンサーに

オンラインで論文を管理するオンラインのソフトの話題です。

科学雑誌出版社のSpringerがCiteULikeと提携し、スポンサーになりました(Springerのサイトから、CiteULikeのサイトから)。

他にConnoteaがNature Publishing Groupから、2CollabElsevierから提供されています。

日本生まれのもので言うとSesame!がありますが、これは特に出版社とは提携していないようです。

どれぐらいの研究者がこのようなサイトを利用しているかわかりませんが、ある意味、つまらないですね。独立系の論文管理サイトが大きな勢力を持てば、各ジャーナルをあれこれと批評するだけの存在に育つ可能性があるのに。このように、ただ単に既存の出版社に吸収されてしまうと、結局はいままでのシステムは何も変わらなくなってしまうので。

研究者にとっては多少便利になっていくのでしょうが。

InvitrogenがABIを合併

今朝のびっくりニュース。冗談ではないみたいです。

Invitrogenのウェブサイトから。

ARLSBAD, Calif. & FOSTER CITY, Calif.—(BUSINESS WIRE)—June 12, 2008—Invitrogen Corporation (NASDAQ: IVGN) and Applera Corporation today announced that their Boards of Directors have approved a definitive merger agreement, under which Invitrogen will acquire all of the outstanding shares of Applera’s Applied Biosystems Group (NYSE: ABI) in a cash and stock transaction valued at $6.7 billion.

InvitrogenがAppleraのApplied Biosystemsグループの株式をすべて購入します。統合した会社はApplied Biosystemsという名前になります。Invitrogenの現在の取締役は9人ともそのまま残り、そこにApplied Biosystemsから3人が加わるということです。

Applied Biosystemsのウェブサイトにも

これがいったいどういうことなのか、背景は不明です。Applied Biosystemsを保有しているApplera社が、遺伝子診断部門のCeleraに集中するのが狙いだったとしか思えません。雰囲気的にはInvitrogen社が買いたがっていたというよりは、Applera社がApplied Biosystems部門を売りたがっていたようです。

研究者向けマーケットと遺伝子診断マーケットはそれぞれ全く異なりますし、成長性についても、研究者向けは一桁台であるのに対して、遺伝子診断でCelera社は20-30%の成長を示しています。ですから、Celera社の株主価値を高めるためには、このように分けるのはわかりやすい方法です。

Applera社の2007年業績報告

研究試薬・機器の内外価格差

研究試薬や機器は日本で買うと高いというのは、ほとんど常識?!になってしまっていますよね。

それでその理由として、中間卸しがどうのこうのって話になって、日本の流通システムが非効率って話にすぐになっちゃうんですけど、以前に内部にいたものとして言わせてもらうと、これはほとんどが嘘です。

確かに1~2割ぐらいだったら、流通とか、日本語のサポートが必要だからという説明はそれなりに説得力を持ちますが、実際のところ同じ試薬の日米内外価格差はこんなもんではなく、2倍~3倍っていう話も珍しくないと思います。ネットではうまく見つけられませんでしたが、ここでは3倍と言っています。要するに、流通とかとは別の理由で値段が高くなっているのです。

アメリカ留学などをして日本に帰ってきた研究者にはこの内外価格差が非常に良くわかるのですが、日本でだけ研究しているとなかなかわからないものです。そこでいま考えているのは、バイオの買物.comに米国価格も併記しようということです。これで内外価格差が非常に明確になってくれば、例えば割り引き交渉をするときの材料にも使えますので。

それと、一部のメーカーでは内外価格差が非常に少ないこともあります。このようにがんばっているメーカーと、相変わらず非常に高い値段設定をしているメーカーがいったいどこなのか。そこをはっきりさせたいとも思っています。

がんばっているメーカーは日本の研究者から支持され、日本からぼったくっているメーカーは日本の研究者から見放される。そういうことに少しでもつながればと思います。

細かい時期は未定ですが、年内には実現する予定の機能です。

Qiagen 2008年第一四半期業績

Qiagenの2008年第一四半期業績が発表されましたので、以下にまとめます。詳細なスライドもあります。

売上は62%成長($207.1 million 215億円)。ただしDigene社とeGene社の合併がありましたので、それを差し引くと10%の成長(ドル安の影響を除いて)。利益については79%の成長と報告しています。合併とドル安の影響を差し引いた後の10%の成長は、競合他社と比べてよい成績です。

成長の内訳として、既存製品の売り上げ数量増加で4%成長、価格増加で2%成長、さらに新製品により4%の売上成長を達成したと報告しています。為替の影響は9%としています。

Digene社はDNAとRNAによる診断製品を持った会社で、2006年に$178 millionの売上、$15.3 millionの利益を出し、32.5%の成長をしています。eGene社はキャピラリー電気泳動で核酸を分離・解析する技術を持った会社で、年間で$7-$9 millionの売上を期待されています。それぞれ$1,600 millionと$34 millionでQiagenが2007年に買収しました。Digene社の合併により、2008年には分子診断の売上が総売上の半分近くに達する見込みのようです。

粗利率は$152.3 millionで73%、営業利益は$58.7 millionで総売上の28%、純利益も$36.9 millionで総売上の18%で、合併後も相変わらず非常に良い利益率を維持しています。

日本国内の売上は$12.6 millionと報告されていますが、これは2007年の$10.0 millionと比べて26%の増加となっています。このうちドル安の影響がどれだけあるか、Digene社の日本国内での売上がどれだけあるかはわかりませんので、日本国内での売上がどれだけ成長したかはわかりませんが、世界での売上成長の様子を見るとかなり好調だったと予想されます。

Digene製品の影響を差し引いても、日本国内で円建てで5%程度の成長はしたのではないかと推測します。

BioRad 2008年第一四半期業績

BioRadは2008年第一四半期(1月-3月)で31%の売上増を報告しました。

2007第一四半期の$322.5 millionと比較して、2008年第一四半期は$422.2 million (424億円)で、30.9%の増加でした。ドル安の影響を差し引くと、23.9%の増加とのことです。DiaMed Holding AGの合併により$62.7 millionの売り上げ増加がありましたが、それを差し引くと既存ビジネスで11.5%の増加でした。ドル安の影響を差し引くと4.5%の増加とのことです。

ちなみにDiaMedは2007年10月に477 million Swiss Francsで手に入れた会社で血液関連の診断製品のある会社です。

ライフサイエンス部門については売上は$154.6 millionで、9.2%の増加。ドル安の影響を差し引くと2.3%の増加にとどまりました。全体的に市場は軟調だったとコメントしています。

診断部門の売上は$263.7 millionで、DiaMedの合併を差し引いても13.1%の売り上げ増加、ドル安の影響を差し引いて6.0%の増加でした。

2007年度は年間で6.9%、ドル安を差し引いて2.7%の成長をしたということが報告されているいますので、引き続きそのままの状態ということのようです。

バイオ部門は競合他社と比べて成長が弱いですね。日本での売上は個別に出していませんのであくまでも類推ですが、日本の市場の弱さを考えると、日本でのバイオ部門は3%ぐらいのマイナスでは無いでしょうか。

BioRadは売上だけはライフサイエンス部門と診断部門に分けていますが、利益についてはまとめて報告しています。2007年度の数字しかありませんが、粗利が総売上の56%、営業利益は総売上の8.1%となっています。R&Dは総売上の10.1%です。

Millipore 2008年第一四半期業績

Milliporeが2008年1-3月の業績を発表しましたので簡単に紹介します。

売上は7%の増加で$395.2 million(411億円)。ただしドル安の影響が8%ありましたので、各国の通貨ベースでは1%の減少。Bioscience部門が6%の増加であったのに対して、Bioprocess部門が7%の減少でした(各国通貨ベースの数字で)。

営業利益は$57.6 million(対売上比14.5%)で、これは対前年($39.6 million)比で46%の増加。粗利率は52.5%で、前年の51.0%より若干改善。R&Dは対売上比で6.3%で、前年の7.4%より大幅に減少しています。営業マーケティング等の費用も対売上比31.7%で、前年の33.0%より減少しています。ただし金額ではR&Dは9%の減少で、営業マーケティング等は2.1%の増加になっています。R&Dを大幅に減らして利益を改善している感じがあります。

経営陣のコメントとして、Bioprocess部門での売り上げ減少は少数のアメリカのバイオテクノロジー企業の影響によるもので、その他のバイオテク企業は二桁成長しているとのこと。ということで、なかなか強気なコメントです。こういう理屈は小さいエリアを担当している営業担当者の言い訳としてはよく聞きますが、圧倒的な市場シェアを持っていて、なおかつ大きな世界市場を語っている経営陣がいうととてもおかしく聞こえます。本来なら経営陣としては、この動きを全体的なトレンドとして理解する勇気と力量が必要です。おそらくビジネス経験が貧弱だけど何かの間違いでトップになってしまった人が、営業部門の言い訳をそのままテープレコーダーのように繰り返しているのでしょう。言い訳を言い訳と見抜くだけの経験がなくて、なんとか自分の身を守ろうというパターンですね。僕もそういう人を見てきているので、ピンと来ます。

地域ごとに見ますとアメリカ大陸で10%の売り上げ減少($146.3 million)、ヨーロッパで17%の売上増加($171.3 million)、アジアパシフィックで25%の売り上げ増加($78.6 million)となっています。これはすべてドル建てで、ドル安の影響を受けた数字です。

ミリポアは水というどこでも必ず使う製品が主力の会社で、しかも圧倒的なシェアを持っていますので、市場の活気を正確に表すバロメータとなる会社の一つだと思います。

6%という各国通貨ベースでのBioscience部門の成長も、私が知っている世界の市場全体の伸びとほとんど一致しています。ミリポアが日本の数字を個別に出していないのは残念ですが。