凄いアイデアが凄い製品に至るまでの職人芸

ここ数日間、朝日新聞に「IT!おまえはどこへ」というシリーズがあって、ソニーでプレイステーションに関わった久多良木健 氏や、ドコモでiModeに関わった夏野剛 氏がインタビューに応じています。(

これからも日本のITで大きな存在の人間が登場するのでしょうが、今までのところかなりいまいちな印象です。

なぜかというと久多良木氏も夏野氏も単にSFのような世界観を述べているだからです。単なる「アイデア」、つまりこうなったら面白いなということ、もしくは「現代のトレンドはこうだな」というのを述べているにすぎません。

彼らはスティーブ・ジョブズ氏よりはジョン・スカリー氏っぽい気がします。スカリー氏は1987年にKnowledge Navigatorというコンセプトを打ち出し、いくつものコンセプトビデオを制作しました。両氏にはスカリー氏の雰囲気があります。

その一方でスティーブ・ジョブズ氏のいろいろなインタビューを聞いても、10年先の世界の話はまずしません。そんな先のことはわからないというスタンスをとります。

インタビューでのスティーブ・ジョブズ氏が言うのはむしろこうです;

You know, one of the things that really hurt Apple was after I left John Sculley got a very serious disease. It’s the disease of thinking that a really great idea is 90% of the work. And if you just tell all these other people “here’s this great idea,” then of course they can go off and make it happen.

And the problem with that is that there’s just a tremendous amount of craftsmanship in between a great idea and a great product. And as you evolve that great idea, it changes and grows. It never comes out like it starts because you learn a lot more as you get into the subtleties of it. And you also find there are tremendous tradeoffs that you have to make. There are just certain things you can’t make electrons do. There are certain things you can’t make plastic do. Or glass do. Or factories do. Or robots do.

Designing a product is keeping five thousand things in your brain and fitting them all together in new and different ways to get what you want. And every day you discover something new that is a new problem or a new opportunity to fit these things together a little differently.

And it’s that process that is the magic.

スティーブ・ジョブズ氏が言うのは、実際に製品を作っていくと、最初の「凄いアイデア」は様々に形を変え、最初のものとは大きく形を変えるということです。デザインの過程で様々な制限にぶつかり、問題を克服したり、新しい可能性が見えたりするからです。

そしてこのように具体的に製品をデザインしていく過程こそが“Magic”だとスティーブ・ジョブズ氏は語っています。この過程を表現するのに使っている言葉は“Craftsmanship”、つまり「職人の技能」「職人芸」です。

将来を見通すヴィジョンを持つと礼賛されるスティーブ・ジョブズ氏ですが、その本人はヴィジョンに偏るのをdiseaseと形容しています。そしてより重要なのは職人が生み出す“Magic”だとしています。

その意味を我々はよくよく考えなければなりません。

ブラウザの使用シェア統計はどれが正確か?

このブログではブラウザの使用統計を頻繁に使って議論をしています。特にStatCounterをよく使います。しかしその統計は信用できるものでしょうか?

答えからいうと、そのままでは信用できません。

もう一つよく使われているブラウザ使用統計はNetMarketShareがありますが、どちらかというとこちらの方が信頼性が高いと考えられることが多いです。ただNetMarketsShareの場合は細かいデータは有料になってしまいます。StatCounterは地域ごとの細かいデータまで無償で公開されています。

このあたりの細かい議論は、Roger Capriotti氏が書き下ろしています

StatCounterはChromeの使用シェアが高く出ているのに対して、NetMarketShareはInternet Explorerの使用シェアが高く出ています。したがってGoogle派か、Microsoft派によってもどっちを信用するかは変わってくるようです。

ただウェブログ解析をしている人の考え方に近いのはNetMarketShareの方です。NetMarketShareは訪問者数を分析しているのに対して、StatCounterはページビューを分析しています。いまどきページビューを使ってウェブサイトのログ解析をする人はいません。

また私自身、仕事の関係上一日中ウェブを使っていますが、そうなると「普通」の人よりも100倍ぐらいページビューを出していることだってあります。そのままカウントされたデータは意味が無いと自分自身が思います。

またNetMarketShareは地域ごとのサンプル数のバイアスを考慮していますが、StatCounterはそれをしていません。地域ごとのサンプルバイアスというのは、例えばStatCounterの場合は日本人によるページビューが少ないのに対して、トルコ人によるページビューが非常に多いです。NetMarketShareであればインターネット人口を元に補正をかけますが、StatCounterはそのままにしています。したがってトルコ人のネット使用傾向が最終データに強く表れます。

私は絶対値はNetMarketShareの方を信頼しています(ということは、まだまだInternet Explorerがダントツで一番使用されているブラウザだと考えています)。しかし細かいデータが公開されていませんので、「傾向」で十分に議論ができるような場合はStatCounterを使っています。