iBooks Textbooksでイノベーションについて考える

アップデート
Daring FireballのJohn Gruber氏もこの記事と同じようなことを述べています。“On the Proprietary Nature of the iBooks Author File Format”

It’s the difference between “What’s the best we can do within the constraints of the current ePub spec?” versus “What’s the best we can do given the constraints of our engineering talent?” — the difference between going as fast as the W3C standards body permits versus going as fast as Apple is capable.

NewImage2012年1月18日に行われた Apple Education Eventで iBooks Textbooksが発表されました。詳しくはAppleのウェブサイトにありますので、ご覧ください。

とにかく今の子供がうらやましいですね。こんな教科書で勉強できるのなら、楽しくて仕方が無いでしょう。難しいコンセプトもどんどん理解が進むでしょう。何よりもこれだけ勉強が楽しくなるのならば、興味の幅がすごく広い子供がたくさん育ちそうです。受験のための教科だけを勉強するのではなく、興味の赴くままにいろいろな科目を勉強する子が出てくること。これが何よりもうれしいです。

さてiBooks Textbooksに対する批判の多くは、iPad版しか無いこと、そしてiBooks Textbooks用の電子教科書を作成するにはMacを使わなければ無いことに問題視しているようです。

でもイノベーションっていうのは、どうしてもこうなっちゃいます。Apple社も別に囲い込みたいからと言うだけでなく、イノベーションを続けるためにやむなくこういう統合された環境にしているのです。

逆に言うと、iPad版に限定すること、そしてMacで著作するようにしているからこそこれだけイノベーティブなものが作れるのです。

当然ながら今回でiBooks Textbooksは始まったばかりで、今後新しい機能はどんどん追加されます。それに応じてファイル形式も変更されていくでしょう。新しい機能が自由に追加できるのは、このファイル形式をApple社が完全にコントロールしているからこそです。例えばePub形式とかHTML5のような業界標準のファイル形式を採用してしまうと、これらで表現しきれない機能をiBooks Textbooksに追加できなくなってしまいます。つまりイノベーションの自由度が下がってしまうのです。

もし電子教科書はePubの機能で十分であり(つまり静的なコンテンツで十分と考えている)、iBooks Textbooksのイノベーションには価値がないと考えているのなら、業界スタンダードのePubを使えば良いわけで、これならAndroidでも読めます。

もしインタラクティブなコンテンツがとても作りやすくなっているiBooks Textbooksのイノベーションがとても重要で、これからもイノベーションを続けてもらいたいのならば、当面はApple社のシステムを取り込むしかありません。イノベーションが速いペースで進むためには、垂直統合はやむを得ません。

垂直統合はイノベーションの代償です。どっちかを選ぶしかないのです。