iBooks Textbooksがあるとき、授業は何をすればいいの?

Life on EarthiBooks Textbooksを見て、昔から疑問に思っていることを再び考えています。

「授業というのは何をするべきところなのだろうか?」

学校に行く目的は勉強ができるようになることです(他に人間として成長するというのはもちろんありますが、それは別の話)。授業というのはその一つの手段です。数ある中の一つの手段ですし、最も効果的な手段という保証もありません。極端な話、生徒が勉強できるようにさえなれば、授業をやるかどうかはどうでもいいことです。

iBooks Textbooksの見本で日本で唯一ダウンロード可能な“Life on Earth”を見ると、「これさえしっかり読めば授業はいらないよね」って思わずにはいられません。おもしろいから退屈せずに最後まで読めるし、高解像度の写真や動画、インタラクティブなウィジェットがふんだんに使われています。書いてある内容が理解できずに苦しむと言うことはあまりなさそうです。

日本に多い授業の形式、つまり黒板があって、そして40人が全員前を向いて先生が話をするという授業形態で果たして”Life on Earth”を超えた授業はできるでしょうか。”Life on Earth”以上の説明を黒板と口頭で果たしてできるでしょうか。あるいは話題の電子黒板を使ったとしても、iBooks Textbooks以上のマルチメディア体験を生徒に与えることができるでしょうか。

僕は無理だと思います。”Life on Earth”を見ると、「事実を伝える」という目的に限って言えば、授業という形式でこれを超えることはできないと思います。

それならば授業は何をやるべきなのか。黒板に板書をして、先生が口で説明して、教科書を読んでという授業の代わりに、先生たちはいったい何をすれば良いのか。

今回のiBooks Textbooksの話、僕が小学校の頃にイギリスの現地校で受けた授業、そしていままで好きだった先生の教え方を思い返しながら、僕が理想とする近未来の授業の姿を描いてみたいと思います。

  1. 黒板に書かれた板書を生徒が書き写すようなことはやめるべきです。
  2. 生徒は自分で考えてノートをとるようにさせます。何をノートに書くべきか、どういう形で整理するかは生徒に自分で考えさせます。
  3. 教科書を読み上げるというのはやりません。それぐらいなら授業の最初の15分間ぐらいみんなに教科書を各自で読ませた方が良いです。人それぞれに考えるペースがりますし、本を自分のペースで読むのと、読み上げられた音声を聞くのとでは頭に入る効率は全然違います。iBooks Textbooksみたいなインタラクティブなものは特に読み上げるだけではもったいです。
  4. 自分で主体的に勉強させます。問題集をやらせるのも良いのですが、せっかく学校にいるのであれば何か課題を与えるとか、作文をやらせるとかした方がおもしろいと思います。
  5. 自分の考えを発表する練習をさせます。どんなにすぐれた電子教科書があっても、自分の考えを発表する練習はそれだけではできません。
  6. 以下にマルチメディアでインタラクティブであっても、実際の物理的な体験は重要です。実験をするとか、外に出て観察するとか、そういうことをさせることが重要です。

iPadを活用した教科書があれば、子供たちは自分たちで積極的に勉強してくれることが増えるでしょう。難しいコンセプトでも頭に入りやすくなるでしょう。単純に教えることにもはや多くの時間を割く必要は無くなるはずです。時間をかけるにしても、子供たちは自分でできるはずです。

逆に生まれたときからiPadを使っているような子供たちにとって、黒板を使った授業は退屈で仕方がありません。当然なことです。iPad以上に刺激的でおもしろい体験をどうやったら子供たちに与えられるか、それが試されています。

もちろん優れた先生たちは、単に板書をするのではなく、あの手この手を使って子供たちに興味を持ってもらい、いろいろな方法で勉強をさせているはずです。今後はますますこのような先生の工夫が生きてきたり、実践したりする時間が増えるのではないでしょうか。それが何よりも楽しみです。