iPhone4 vs. Android の話

AppleInsiderにiPhone 4 and iOS vs. Android: hardware featuresという記事が投稿されました。

ちまたにあるような薄っぺらな評論や比較の記事ではなく、ハイテク業界の本質に踏み込んだ議論をしていますのでとてもお勧めです。

以下、僕が面白いと感じた視点を紹介します。

Overall however, this idea that “platform openness” automatically results in better hardware features has only been proven to give Android a temporary advantage that is now lost with the introduction of iPhone 4, which significantly outpaces top Android phones not only in interface polish and usability, but also in hardware specifications, the very thing the Android ecosystem is supposed to excel at.

「オープン」にした方がハードウェアのイノベーションが起こりやすい、というのは幻想だと結論しています。iPhone4のハードウェアを見ていると、それは確かに間違い無さそうです。

The idea that an open platform should drive hardware innovation was not borne out in the PC arena. Specific PC models have often offered better graphics options and sometimes introduced faster processors quicker than Apple’s Macs, for example, but Macs have long offered higher quality components, better industrial design, and often introduced or popularized new features first (such as USB, FireWire, Gigabit Ethernet, optical digital audio, sudden motion sensors, backlit keyboards, DisplayPort, and so on).

Recently, the intense competition among PC makers has resulted in efforts directed primarily at achieving lower prices (achieved by cutting hardware corners or using old technology), resulting in the short term boom among netbooks. Apple has kept the bar high among Macs, resulting in better quality at a higher price. Rather than pricing itself out of the market, this has resulted in Apple’s Mac sales outpacing the grown of the global PC market by a factor of around 4x. In smartphones however, Apple is maintaining a quality edge at an equal or lower price, thanks to the economies of scale the company enjoys due to its sales of tens of millions of iPods.

ハードウェアの競争の結果、何が起こったか。ネットブックの例を出して紹介しています。イノベーションが起こったのではなく、価格競争が起き、ハードウェアの品質が下がったというのです。一方でiPhoneやiPodにおいて、Appleはスケールメリットを生かし、同等かより安い値段で高品質の製品を売ることができている。

何を学び取るか

まず僕らは「オープン」だとか「自由競争」がイノベーションを育み、市場原理の結果としてより良い製品をより安い価格で提供されるようになると考えがちです。考えがちというか、ずっとそういう教育を子供の頃から受けているし、社会的な強者は多くの場合受験戦争を勝ち抜いてきた人でもありますし、どちらかというと競争を盲目的に受け入れがちです。

だから市場の活性化には規制の撤廃こそが重要だという考え方を自然に受け入れてしまったりします。でも世の中をしっかり見てみると、必ずしもそうではないのです。AppleのiPhoneはその一例でしかありません。

GoogleのAndroidが最後には勝つ。クローズドなiPhoneがいつまでも勝ち続けるはずはない。そう思っている人も多いはずです。確かにPCの世界ではそんな感じになりました。でもスマートフォンでも同じ結果になるという根拠は見つかりません。「オープン」を盲目的に信じていなければ。

垂直統合がやりやすくなって来た世の中

Apple、特にiPhoneとiPadは垂直統合がすごいです。「オープン」論者は、垂直統合はいつまでも継続できるはずはなく、いずれは水平統合型ビジネスに軍配が上がると信じています。そしてその傾向というのは確かにあります。

しかしよく考えてみると、低コストで垂直統合を実現しやすい世の中にもなってきている気がします。

例えばAppleは半導体から末端商品の販売も手がけていますが、製造そのものはしていないのです。半導体の製造もiPhoneのアセンブリも、Appleがやるのではなくて中国や台湾などの工場に委託しています。そのため自分たちの工場に大きな投資をする必要がありません。低リスクで「自社製品の製造」ができるのです。

A4のCPUにしても、ゼロからAppleが設計しているのではなく、ARMのオープンなデザインを改変しています。ソフトウェアにしても、OSのベースとなるBSD Unixはオープンソースのものです。Safariを動かしているWebKitエンジンも、オープンソースのプログラムを導入して改変を加えた結果です。

いまの時代は、大きな先行投資をしなくても製造だとかハードの設計、ソフト開発がスタートできます。昔はこういうのが大変でしたので、投資した分を回収するためには自社のものだけでなく、他社の注文も受けないと行けませんでした。つまり水平統合型ビジネスをしないといけませんでした。しかしいまでは多くのビジネスにおいて、必要な投資が大幅に減っています。ですから垂直統合がしやすいのです。

こういう世の中なので、「オープン」や「自由競争」を礼賛しがちな古い頭をリセットして、「クローズド」や「垂直統合」、「限定的な競争」の良さを再考する必要があるのでしょう。そう強く感じます。