日本はいち早くポストPCに突入していた?

先の書き込みで、日本ではWindows XPのプライベートでの利用が多そうだという統計を紹介しました。なおかつこれが日本と韓国に固有で、その他の国ではWindows XPの企業利用は多いものの、プライベート利用は少ないと解説しました。

今回はその原因について推測してみたいと思います。

私なりに考えた結論は、これは日本(そして韓国)が世界に先駆けて、いち早くポストPCに突入していた結果ではないかということです。そして日本の現状を見ることで、ポストPC時代が理解できるのではないかと考えています。

では始めます。

プライベートでのWin XPが多いのは、7年間以上パソコンを買い換えていないから

Windows XPを使っていることの必要条件は、Windows XPあるいはそれよりも古いOSがプレインストールされたパソコンを購入したことです。Windows Vista, Windows 7がプレインストールされたパソコンをわざわざダウングレードする人は希です。したがってWindows XPを使っている人が多いと言うことは、Windows Vistaプレインストールの機種が増える前のパソコンを未だに使っている人が多いと言うことです。

Windows Vistaは2006年末から2007年はじめにかけてリリースされた、Windows XPの後継OSでした。当初は動作が重く、評判が悪かったのですが、それでもパソコンにプレインストールされたのは主にWindows Vistaでした。例外としてはNetbookがあります。Netbookは2007年末のASUS Eee PC登場から数年間人気を博しましたが、性能が低いためにWindows XPしか走らせることができませんでした。2009年の9月にWindows 7が登場するまで、NetbookはWindows XPが標準でした。

このことから、未だにWindows XPを使っているユーザは、通常のパソコンであれば2006年以前に購入したものを、Netbookであれば2009年以前に購入したものを使い続けているユーザと言えます。とりあえずNetbookを除外して考えると、Windows XPを未だに使っているユーザは、2006年から2013年までの7年間の間、パソコンを買い換えていないユーザです。

つまりこうです。日本のプライベート用パソコンの多くは7年間以上買い換えられていないのです。そしてこれは日本(韓国)固有の現象で、欧米の国では起きていません。

なおGarbageNEWS.comでは内閣府の消費動向調査のデータを元に買い換えサイクルを抽出していますが、私の推測よりも若干短い結論になっています。海外の同様のデータは、私が探した限りでは見つかりませんでした。

どうして日本のプライベート用パソコンは買い換えられないのはiモードのため

日本のプライベート用パソコンが買い換えられていない理由は何でしょうか。もちろんWindows XPで十分だから買い換える必要が無かったなどと議論することもできますが、それだけでは日本(および韓国)と、それ以外の国の違いを説明することができません。日本(韓国)固有の事情が何か無いとうまく説明できません。

韓国のことはよくわかりませんが、日本の特殊事情としてはiモードが一番考えられます。iモードを使うとテキストメールはもちろんのこと、ウェブの閲覧も可能です。つまりパソコンのプライベートな使用用途は、日本ではほぼiモードでカバーされていました。特にウェブの閲覧が可能な携帯電話が2007年時点で広く普及していたのは、おそらく日本だけのことでしょう。日本だけが「プライベートではiモードがあればパソコンはいらない」時代に突入していたとも言えます。

日本ではiモードの普及によりプライベートでパソコンを使用する機会が激減したので、パソコンを買い換える必要がなくなったのでしょう。そのためにプライベート用パソコンを買い換える必要がなくなったのではないでしょうか。

iモードがもたらしたポストPC時代

前段の議論は若干乱暴ですが、仮説としては十分だと思います。つまり日本ではiモードが2007年時点で既にポストPC時代を到来させていて、そのためにプライベート用パソコンの買い換えが行われなくなってきたという仮説です。

これがポストPC時代の姿であったならば、いま欧米をはじめ、世界全体で始まっているポストPCのトレンドを先読みすることが可能です。

ポストPC時代の姿は

ポストPC時代にはタブレットがパソコンに取って代わると考えている人がいます。つまりパソコンを新たに買おうという人が代わりにタブレットを買う時代になるのではないか、という考えです。

しかし上述の議論からは違う姿が予言できます。

つまりポストPC時代ではそもそもパソコンを買い換えようとしません。したがってパソコン代わりにタブレットを買おうということも起こりません。古いパソコンはいざというときのWord、Excel、そしてスマートフォンで撮った写真の保管のためにのみ使用され、動作の快適さは要求されなくなりません。そのためいつまで経ったも買い換えられません。

日常的なメールの交換、インターネットの閲覧はすべてスマートフォンで行われるでしょう。ラップトップはおろか、タブレットすら使う必要はありません。なぜなら最近ではスマートフォン専用ウェブサイトが非常に多くなったからです。狭い画面でもウェブ閲覧は不便を感じなくなりました。最盛期のiモード専用サイト以上にスマートフォン用ウェブサイトは多くなっています。しかも大半が無料です。

最後に

最後に、ちまたのアナリストが語っているポストPCの姿と私が予想している姿の違いを挙げます。

  1. ポストPC時代の主役はタブレットではなく、スマートフォンです。タブレットの売り上げ台数がPCを超えたとしても、それは本質的には全く意味の無いデータです。
  2. タブレットはPCに置き換わりません。PCは買い換えられないまま、新しく購入されないままではありますが、家庭に残り続けるでしょう。
  3. タブレットの市場は最終的には余り大きくならないでしょう。ただし中国などではテレビの代わりに安価なタブレットを購入する動きがあり、これは大きな市場になる可能性があります。
  4. スマートフォンを中心とするならば、スマートフォンを差し込むとデスクトップパソコンに変身するようなドックが意外と人気が出るかも知れません。